ディープフェイクは、AIを活用して「あたかも本物のようなフェイク動画を作る」技術です。
パチモノやコピー商品のようなイメージを思い浮かべる人も多いですが、ディープフェイクには生成AIによる人工知能が活用されています。
ディープフェイクの作成にはPythonの技術が必要で、ツールを使えば素人でも簡単に作成可能です。
今回は、初心者でも簡単にディープフェイクを作成できるツールを厳選して紹介します！
ディープフェイクの取り扱い時における注意点や、ビジネスへの活用方法もしっかりチェックしておきましょう。
【この記事の要約】
- ディープフェイクは生成AIによって作られる「まるで本物みたいなコンテンツ」
- ディープフェイクの技術はビジネスにおける広報活動やツール作成に応用できる
- ディープフェイクに関する「知っておくべき知識」と「知っておいて損はない情報」を事前に押さえておくことが大切
そもそもディープフェイク（Deepfake）とは？何に活用できる？
ディープフェイクは、深層学習（deep learning）と偽物（fake）を組み合わせた造語です。
AIを使って実在しないビデオや画像をリアルに作成する技術を指し、場合によっては本物と見分けがつかないほどのクオリティを誇る動画が出来上がります。
ディープフェイクには、GAN（Generative Adversarial Networks）という仕組みが用いられているのがポイントです。
GANは「生成ネットワーク」（Generator）と「判別ネットワーク」（Discriminator）の2つの部分から構成されており、機械学習の仕組みが応用されています。
ディープフェイクを作成するライブラリやフレームワークには、プログラミング言語の一つであるPythonのコードが記述されています。
ディープフェイクはビジネスにおいて、動画コンテンツとしての役割はもちろん、以下3つの方法でも活用可能です。
- CGを使った動画や映像の作成
- 対面でのコミュニケーションができる対話型AIの作成
- コンテンツの吹き替えによる多言語対応
- 文章読み上げツールの作成
- プレゼンや営業資料への活用
「動画があれば便利なのに」「ムービー作成にはお金と時間がかかる」と悩んでいる人は、解決に繋がる要素はないかチェックしましょう。
CGを使った動画や映像の作成
ディープフェイクは、CGを使った動画コンテンツとして活用できます。
CGはコンピューターグラフィックスの略で、簡単に言うとコンピュータを使用して生成された画像や動画です。
ディープフェイクを作れるツールを使えば、複雑なツールを使わなくても動画編集の作業を簡単に行えるようになります。
対面でのコミュニケーションができる対話型AIの作成
ディープフェイクの技術は、対話型AIの開発にも役立ちます。
実際には存在しない人物に自動応答機能を盛り込めば、対話型AIチャットボットの完成です。
対話型AIチャットボットを作ったあとは、人間側であらかじめ想定される質問や応答方法をプロンプトに盛り込んで学習させるようにしましょう。
コンテンツの吹き替えによる多言語対応
ディープフェイクは、多言語対応のチャットボットや映像作成においても重宝されます。
ディープフェイクにはAIの仕組みが搭載されているため、ChatGPTと同じように、入力された文章を数秒で外国語に翻訳できます。
文章読み上げツールの作成
ディープフェイクは、文章自動読み上げツールの作成にも便利です。
組み合わせるツール次第では、会議の内容を録音するだけでなく、自動で音声として読み上げたり、記録した内容を文字に起こせるようになります。
プレゼンや営業資料への活用
ディープフェイクの技術は、プレゼンテーションや営業活動で使う資料にも活用できます。
資料作成を別のAIツールで行ったのち、ディープフェイクで作った動画内のAIに内容を読み上げてもらう仕組みを作るのもおすすめです。
リアルタイムでニュースが報道されているかのようなコンテンツを作れるので、Webサイトや広告を見た人々を取り込みやすくなります。
ディープフェイクはPython搭載ツールで作れる！おすすめアプリ5選！
初心者がPythonの機能を搭載したディープフェイクを作成するには、以下5つのツールがおすすめです。
- DeepSwap
- Xpression
- Deepfakes Web
- Reface
- Online Deepfake Maker
どのツールも無料で使える期間があるので、お金をかけずディープフェイクの作成を体験できますよ。
たった数回の操作でディープフェイク素材を作れる『DeepSwap』
『DeepSwap』は、全世界で約1.5億人以上のユーザー数を誇るディープフェイク作成に特化したサービスです。
顔写真の合成・スワップの仕組みはもちろん、AIビデオジェネレーターやGIFメーカーといった幅広い機能も搭載されています。
動画と画像さえアップロードすれば、あとはAIが素材を合成して動画を作ってくれるので、最も簡単にディープフェイクを作れるアプリと言っても過言ではありません。
1枚の画像からディープフェイクを作れる『Xpression』
『Xpression』は、画像を自由自在に操ってディープフェイクを作成できるアプリです。
スマホのカメラで読み取った人間の顔の動きをリアルタイムで映像や画像の中の人に反映できるので、まるでジグソーパズルをしているかのような操作ができます。
動物や植物など、現実世界では会話のできない物に対してセリフを追加し、人間のように喋らせることも可能です。
画像と動画に登場する人物の顔の入れ替えができる『Deepfakes Web』
『Deepfakes Web』は、簡単な操作で画像と動画に登場する人物同士の顔を入れ替えられるツールです。
活用する動画と画像をアップロードし、「動画を作成する」ボタンをクリックするだけで、あたかも本物の動画のようなディープフェイクが出来上がります。
Deepfakes Webは有料ツールでありながら、料金は1時間あたり約2,500円とそこまで高くないので、活用するタイミングを決めて一気に動画制作を行うのがおすすめです。
写真をアニメーションのような動的コンテンツにできる『Reface』
『Reface』は、撮影した写真をスポーツの試合や映画のワンシーンなど、様々なシチュエーションにおける動画に合成できるアプリです。
一般人の顔とアニメや漫画のキャラクターを合成し、あたかもコンテンツ上の世界線に存在しているかのような映像を作成できます。
ビジネスの関係者を有名な作品風にアレンジした動画に登場させたり、有名作品の登場人物をイメージしたオリジナルキャラに自社サービスを使わせる動画を撮るのも面白いですね。
ディープフェイクの作成をオンライン上で完結できる『Online Deepfake Maker』
『Online Deepfake Maker』は、PCやスマホひとつでディープフェイクの作成を完結させられるツールです。
人物同士の顔の入れ替え技術に特化しており、ひと目見ただけでは本物か偽物か判断できないほどのクオリティを誇る動画が出来上がります。
スポーツ選手や俳優、女優に自分の顔や声を合成することも可能なので、エンタメ要素を含むイベントの催し物作成にも活用しやすいツールです。
Python搭載ツールを使ってディープフェイクを作成するまでの流れ
Python搭載のツールを使って、実際にディープフェイクを作るまでのステップは以下の通りです。
- ステップ1 作成に活用するデータを準備する
- ステップ2 作成目的や完成イメージをAIに伝えて学習させる
- ステップ3 AIに動画を作成してもらう
- ステップ4 作成させた動画への修正指示を繰り返し行う
素材集めから動画作成まで一貫して行えるのは、AIならではの大きな魅力です。
Pythonが搭載されているツールを活用すれば、専門知識のない初心者でも簡単にディープフェイク動画を作れます。
ステップ1 作成に活用するデータを準備する
まずは、ディープフェイク作成に活用するデータを準備します。
ディープフェイクの作成には、以下の素材が必要です。
- 編集元の動画や画像
- 組み合わせる対象となる動画や画像
- 素材の合成や動画作成におけるAIへの指示文（プロンプト）
組み合わせ対象となる動画や画像を、事前にツールを使って作成することも可能です。
必要な場合は、BGMや参考となるコンテンツも用意しましょう。
ステップ2 作成目的や完成イメージをAIに伝えて学習させる
動画に盛り込む素材の準備が終わったら、次はAIに内容を学習させるステップです。
AIには人間に指示された内容を学習する仕組みが搭載されており、入力するプロンプトの内容次第では、操作者の意図を汲み取ったコンテンツを作成できる可能性も上がります。
どんな動画にしてほしいかAIに伝えるためにも、作成したディープフェイクの用途や気をつけて欲しいポイントも盛り込んで指示文を入力しましょう。
指示文を入力するとき、「〇〇しないで」など否定表現を含む文章を読み取れないツールも多いので、出来る限り避けておくのがポイントです。
ステップ3 AIに動画を作成してもらう
AIに完成物のイメージをつかんでもらったら、次は実際にディープフェイク動画を作成してもらいましょう。
動作作成時間はツールによって異なりますが、長くても数分ほどなので、待ちぼうけになるリスクもほとんどありません。
ディープフェイクのイメージが沸かない人は、まず一度AIに作ってもらったのちに、クオリティや特徴を見てみるのもおすすめです。
ステップ4 作成させた動画への修正指示を繰り返し行う
AIに動画を作成してもらうときは、一度で理想的な作品が出来上がると思わないことが大切です。
子どもや組織における新人社員と同様に、AIも人間の指示によって進化します。
作成までの動画はほんの数秒〜数分と、人間とは比べ物にならないほど速いです。
生成AIツールで動画を作成するときは、人間側で繰り返し修正指示を行い、段階的に理想の成果物へ近づけられるよう工夫しましょう。
ディープフェイクを作成してビジネスに活用するメリット
ディープフェイクをビジネスに活用するうえでのメリットは、以下の通りです。
- 動画広告におけるCG制作の負担軽減に繋がりやすい
- アナウンサーの代わりとして広報活動を行える
- インバウンド対応へ繋がる多言語コンテンツを作成できる
動画作成作業における負担軽減はもちろん、文章の読み上げや外国語への翻訳など、自社サービスやツールの機能性向上や、販促活動の多角化に活かしていきましょう。
動画広告におけるCG制作の負担軽減に繋がりやすい
ディープフェイク動画の活用は、PR動画やコンテンツ制作における作業の負担軽減に繋がります。
今まで人間がフルで行っていた作業量を減らせるので、外注費を削減したり、動画作成に割いていた時間を自社のコア業務に当てられるのは嬉しいポイントですね。
動画制作をAIにお願いしている間に、人間側はWeb広告やSNS運用など、成果物を活用する方法を考えて業務全体を効率よく回せるようになります。
アナウンサーの代わりとして広報活動を行える
ディープフェイク動画を使うと、アナウンサーが自社商品やサービスを音声・動画付きで宣伝できる仕組みを作れます。
アナウンサーによる紹介動画作成を外注するとなると、人件費や原稿作成費、動画編集費のほか、依頼対象によっては仲介手数料も必要です。
ディープフェイク動画作成ツールを使うと、初心者でもアナウンサーとなる物体だけに止まらず、動画やBGMの作成まで一括して行えます。
インバウンド対応へ繋がる多言語コンテンツを作成できる
ディープフェイク動画の編集段階では、必要に応じて様々な言語を選べます。
同じ動画における複数の言語バージョンを作成すると、多言語対応動画の完成です。
インバウンド対策における商品のPR動画や、越境ECサイトを作りたい人は、ディープフェイク動画を作成して宣伝対象となる範囲を広げましょう。
ディープフェイクを作成するときの注意点
ディープフェイクを作成するときは、以下3つのポイントに必ず注意しましょう。
- ディープフェイクで禁止されている行為を事前に把握しておく
- 意図しない著作権侵害に注意する
- コンテンツの良し悪しの判断をAIに丸投げしない
ディープフェイクを作成してビジネスに活用するときは、メリットと同時にやってはいけないことを理解しておくのが必須です。
ディープフェイクで禁止されている行為を事前に把握しておく
ディープフェイク動画を公開する場合、以下などが各国の法律、あるいはツールの利用規約によって禁止されています。
- コピー動画の作成
- 政治や社会に影響を及ぼす可能性のあるなりすまし行為
- フェイクポルノの作成・流出
以上の事項に該当するディープフェイクを作成し、世の中に公開すると刑事罰に問われるリスクもあるので絶対にしてはいけません。
ディープフェイクは使い方によって恐ろしい武器になり得る危険なコンテンツでもあるので、決まりを守ったうえで活用方法を考えましょう。
意図しない著作権侵害に注意する
ディープフェイクを含む生成AIは、作成物に著作権を含むコンテンツを取り入れてしまうことがあります。
著作権を含むコンテンツとは、ドラえもんやクレヨンしんちゃんなど、既に別の人間が作成して世の中に公開しているキャラクターや作品のことです。
ディープフェイク動画を公開するときは、内部に出現する人物や背景がオリジナルのものであるか必ずチェックしましょう。
コンテンツの良し悪しの判断をAIに丸投げしない
ディープフェイクを作れるAIは優秀なツールである一方、作成物を客観的に評価できる技術はまだまだ搭載されていません。
AIで作成したコンテンツを評価するには、まだまだ人間の力が必要です。
ディープフェイク動画作成ツールのクオリティが不安な人は、ビジネスへの活用前に必ずチームでのレビューなどを行い、複数の人間で内容の良し悪しを判断しましょう。
ディープフェイクに関してよくある質問
ディープフェイクに関して、よくある質問は以下の通りです。
- 本物の動画とディープフェイクを見分ける方法はある？
- ディープフェイク動画を見たり作ったりするだけでも犯罪になる？
- ディープフェイクにより発生する可能性があるトラブルとは？
ディープフェイクの特徴や禁止事項についても解説しますので、記事のおさらいとして目を通しておきましょう。
本物の動画とディープフェイクを見分ける方法はある？
AIによって作られた動画のクオリティによっては、ツールを使っても本物の動画とディープフェイクを見分けるのは難しいのが現状です。
ディープフェイクを見分ける技術のひとつにファクトチェック（事実の確認）がありますが、日本ではまだあまり普及していません。
言い換えると、ディープフェイク動画でも上手く使えば自社のWebサイトやブログを訪問した人に、本物の人間が作ったコンテンツだと思わせられるということです。
近年ではマイクロソフト社によりディープフェイクを検出するツールも登場しており、今後注目される分野となってくるかもしれません。
ディープフェイク動画を観たり作ったりするだけでも犯罪になる？
ディープフェイク動画を作成して楽しんだり、他の人が作った作品を観ただけで犯罪になることは基本的にありません。
しかし、以下の内容に該当するディープフェイクを作成すると、法的処置を取られる可能性があります。
- 著作権侵害になる内容のコンテンツの公開
- アダルトビデオの作成・公開
- ディープフェイクそのものの流通・販売
- なりすまし動画の流通
- 特定の人物・組織へ向けた誹謗中傷
ディープフェイク動画を攻撃の手段や商品としてではなく、ルールに従ったうえで、ビジネスにおける一素材として活用しましょう。
ディープフェイクにより発生する可能性があるトラブルとは？
ディープフェイク動画が悪意のある人間によって作成され、世の中に広まってしまうことで考えられるトラブルは数知れません。
作成された動画のクオリティによっては、フェイクニュースによる戦争の勃発や印象操作といった前代未聞の出来事が起きる可能性もあります。
驚きのニュースが突然報道されたときは、鵜呑みにせず「これはフェイクなのではないか？」と、疑いの目を持っておくのも大切です。
生成AIアプリを使ってビジネスに活用できるディープフェイクを作ろう
ディープフェイクは、使い方次第でビジネスや商品・サービスの広告塔コンテンツとなる可能性を秘めている一方、厳しい制約や複雑なルールも存在する技術です。
開発には高度なスキルを要しますが、この記事で紹介したツールを使えば、素人でも頭を悩ませることなくディープフェイクを作成できます。
まずは気になるツールに触れてみて、面白いと感じたものがあった場合、有料プランの契約やビジネスへの活用を考えてみましょう。
まとめ
今回は、ディープフェイクの特徴や作成におすすめなツールを解説しました。
まだまだ日本では普及していないディープフェイクの使い道と同時に、商品やサービスのPRや営業活動においての強みを考えてみてはいかがでしょうか。